XC02120174

ミャンマー難民のアメリカ合衆国への第三国定住 : サンディエゴのカレン難民を例に

Resettlement of Myanmar Refugees and their Lives in the United States of America: A Case Study of Resettled Karen Refugees in San Diego

駒澤地理58

駒澤大学文学部地理学教室・駒澤大学総合教育研究部自然科学部門

2022-03

75

94

0454241X

日本語

AN00093869

departmental bulletin paper

P

本研究は，ミャンマー東部に住むカレン族をはじめとする少数民族が難民と化し，タイの難民キャンプを経てアメリカ合衆国に第三国定住をした後，どのような生活をしているのか，サンディエゴ在住のカレン難民を例に，空間的に明らかにすることを目的としたものである。まず，タイにおけるミャンマー難民キャンプの歴史はすでに40年近くに及び，現在も8万人もの人々が難民キャンプでの生活を余儀なくされている。2005年からタイの難民キャンプで開始したアメリカ合衆国による第三国定住プログラムにより，11万人以上もの人々がキャンプを離れていった。彼らの多くは，テキサス州やニューヨーク州，中西部の州に当初受け入れられていったが，その後，他の州に移動した人々も多く，カリフォルニア州にその集中が見られることがわかった。サンディエゴは，カリフォルニア州で最もカレン難民を受け入れた都市であり，第三国定住のゲートウェーとなっている場所である。ここに住むカレン難民への聞き取り調査から，彼らの中にはミャンマー国内で内戦に巻き込まれて難民となり，難民キャンプを経てサンディエゴに来た人だけでなく，難民キャンプで生まれ育った人もおり，2018年の調査時点で，アメリカ合衆国に来てから，平均して9 年ほどがすでに経過していた。居住地はサンディエゴやエルカホンの，特に経済的に困難な地域に住んでいるが，家族や民族同士が互いが非常に近い距離で暮らす，日常生活に必要な施設が揃った，生活するのに便利な環境を選んでいたことがわかった。彼らの生活は，MEDICAIDやフードスタンプ，奨学金などの支援を受けるなど，経済的な厳しさも感じる一方で，家族，そして共通の故郷を持つ民族同士で助け合いながらサンディエゴで暮らしているということが明らかになった。

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